数字は読めるのに数えられない?幼児の数の概念・数の感覚を育てる方法5選
「1、2、3」と数字を順番に言えたり読めたりしても、実際の物を正しく数えられるとは限りません。
物を数えるとズレてしまう場合は、「数字を言う力」と「物と数字を1つずつ対応させる力」がまだ十分に結びついていないことがあります。
- 2〜5個程度の物を使って数える
- 1個ずつ指差したり動かしたりしながら数える
- 数え終わったら「全部でいくつ?」と聞く
最初から10個、20個と数える必要はありません。お菓子やブロックなど身近な物を使い、少ない数からゆっくり確認しましょう。
本記事では数字は読めるのに物を数えられない理由や、数の概念を育てるために家庭でできる教え方も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
数字は読めるのに数えられないのはなぜ?主な3つのつまずき
数字を順番に言えたり読めたりしても、物の数を正しく数えられるとは限りません。
数字と量を結びつける・物と数字を1つずつ対応させる・数えた物を区別するなど、いくつかの力が同時に必要です。
数字と実際の個数が結びついていない
数字を順番に言えたり読めたりしても、「それぞれの数字が実際に何個を表しているのか理解できている」とは限りません。
子どもは「1、2、3、4、5」という並びを、歌や言葉のように覚えることがあります。
そのため、1から10までスラスラ言えても、目の前のブロックを数えると途中でズレてしまうことがあります。
数字を言えることと、量を理解することは別の力です。
物と数字を1つずつ対応できない
物を正しく数えるには、目の前の物1つに対して、数字を1つずつ対応させる力が必要です。
たとえば、ブロックを指差しながら「1、2、3」と言っていても、指を動かすスピードと数字を言うタイミングがずれると、実際の個数と合わなくなります。
同じ物に2つの数字を対応させたり、反対に物を1つ飛ばしてしまったりすることもあります。
「物1つに数字1つ」を対応させる力がまだ発達途中で数えられないケースも少なくありません。
数えた物と数えていない物を区別できない
おもちゃやブロックがバラバラに置かれていると、どれを数えたのか分からなくなり、同じ物を2回数えたり、途中の物を飛ばしたりすることがあります。
特に物の数が増えるほど、「数えた物」と「まだ数えていない物」を区別しながら数えるのが難しくなります。
数字を順番に言うだけでなく、物を1つずつ目で追いながら、どこまで数えたのか覚えておく必要があるためです。
子ども自身は数字を正しい順番で言えていても、どこまで数えたのか分からなくなることで、実際の個数とのズレが生じる場合があります。
数の概念は何歳ごろから身につく?
数の概念は、ある年齢になったら急に身につくものではありません。
数字を言う、物を1つずつ数える、「全部でいくつ?」を理解する、多い・少ないを比べるなど、いくつかの力が少しずつ育っていきます。
同じ年齢でも、数字に興味を持つ時期や、物を正しく数えられるようになる時期には個人差があります。
年齢よりも、今どこでつまずいているのかを見ながら、子どものペースで数に触れていくことが大切です。
数の概念を支える5つの力
数の概念にはさまざまな要素があります。
幼児の数の理解に関する研究では、物と数字を1つずつ対応させることや、最後に言った数字が全体の個数を表すことを理解することなどが重要とされています。(参照:幼児の数概念に関する研究)
ここでは講師・家庭学習での経験をもとに、家庭で確認しやすい「数の力」を5つに分けて紹介します。
- 数唱|順番に数を言う力
- 1対1対応|物を1つずつ数える力
- 集合数|全部でいくつか分かる力
- 数の大小|多い・少ないを比べる力
- 合成・分解|数を分けて考える力
数唱|順番に数を言う力
数唱とは、「1、2、3、4、5」と数字を順番に言える力のことです。
幼児期は、歌や遊びの中で自然に数字を覚えることがあります。
お風呂で数を数えたり、階段を上りながら「1、2、3」と声に出したりするだけでも、数字に親しむきっかけになります。
ただし、1から10まで言えても、実際に物を数えるとズレることはあります。
まずは数字に楽しく触れながら、少しずつ実物と結びつけていくことが大切です。
1対1対応|物を1つずつ数える力
1対1対応とは、物1つに対して数字を1つずつ合わせて数える力です。
たとえば、ブロックを数えるときに、1つ目を「1」、2つ目を「2」、3つ目を「3」と順番に対応させます。
この力がまだ育っていないと、同じ物を2回数えたり、途中の物を飛ばしたりしやすくなります。
子どもが物の数を間違えるときは、数字を知らないのではなく、この1対1対応がまだうまくできていない場合があります。
最初は、指差ししながら一緒に数えてください。
お菓子やブロックなら、数えた物を横に移動させると、どこまで数えたか見た目で確認できます。
集合数|全部でいくつか分かる力
集合数とは、最後に言った数字が「全部の数」だと分かる力です。
たとえば、ブロックを「1、2、3、4」と数えたあとに、「全部で4個」と理解できることを指します。
子どもによっては、最後まで数えられても、最後に言った数字が合計を表しているとまだ分かっていない場合があります。
この力を意識するなら、数え終わったあとに「全部でいくつ?」と聞いてみる方法があります。
「1、2、3。全部で3個だね」と確認することで、最後の数字が全体の数を表すことに気づきやすくなります。
数の大小|多い・少ないを比べる力
数の大小とは、どちらが多いか・少ないかを比べる力です。
数字だけで「5は3より大きい」と理解する前に、幼児期はおもちゃを3個と5個に分けて「こっちのブロックのほうが多いね」「同じ数にできるかな?」と声をかけてみてください。
実物を並べたり分けたりしながら比べることで、量の感覚が少しずつ育っていきます。
合成・分解|数を分けて考える力
合成・分解とは、数を合わせたり、分けたりして考える力です。
たとえば、「3と2で5」と考えるのが合成です。
反対に、「5は2と3に分けられる」と考えるのが分解です。
この力は、足し算や引き算を理解する前の大切な土台になります。
お菓子を2個と3個に分けて、「合わせると何個?」と聞いたり、5個のお菓子を「2個と3個に分けてみよう」と遊んだりすると、自然に足し算や引き算に触れられます。
数の概念を育てるために家庭でできる教え方
「数字は読めるのに、物を数えるとズレる」ときは、実物を使って数える経験を増やしてみましょう。
文部科学省の「幼稚園教育要領解説」でも、幼児期は数量の知識を単に教えるのではなく、日常生活の中で物を数えたり、量を比べたりする経験を重ねることが大切だとされています。
特別な教材がなくても、お菓子やブロックなど身近な物を使えば、数える・比べる・分けるといった数の感覚に触れられます。
- お菓子やブロックを数える
- 「全部でいくつ?」と聞く
- 多い・少ないを比べる
- すぐに答えを教えない
- 間違えても数え直す
お菓子やブロックを数える
数の概念を育てるには、まず実際に触れる物を使って数えるのが分かりやすいです。
お菓子やブロックなら、数字と実際の個数を一緒に確認できます。
たとえば、お菓子を3個並べて「1個、2個、3個」と一緒に数えるだけでも、数を実感しやすくなります。
このとき大切なのは、1つずつ指差ししながらゆっくり数えることです。
口だけで「1、2、3」と言うよりも、物を見ながら指を動かすほうが、どの物を数えているのか分かりやすくなります。数えた物を少し横に動かすと、同じ物を2回数えるミスも減らしやすいです。
「全部でいくつ?」と聞く
物を数えたあとは、「全部でいくつ?」と聞くようにすると、数の理解につながりやすくなります。
子どもは「1、2、3」と数えられても、最後に言った数字が合計だとまだ分かっていないことがあります。そのため、数え終わったあとにもう一度「全部で何個だった?」と確認することが大切です。
たとえば、ブロックを「1、2、3、4」と数えたあとに、「全部で4個だね」と声をかけます。
このやり取りを繰り返すと、最後に言った数字が全体の数を表していることに気づきやすくなります。これは、数の概念の中でも大切な「集合数」の理解につながります。
ただ数を唱えるだけで終わらせず、「全部でいくつ?」まで確認すると、数の意味が少しずつ深まりやすくなります。
多い・少ないを比べる
数の概念を育てるには、多い・少ないを比べる経験も大切です。
お菓子やブロックを並べて、「どっちが多いかな?」と聞くと、子どもは目で見ながら量の違いを考えられます。数字だけで比べるより、実物を使ったほうが幼児には分かりやすいです。
たとえば、片方にブロックを3個、もう片方に5個置いて比べてみます。
最初は見た目で「こっちが多い」と答えても問題ありません。慣れてきたら、一緒に数えて「3個と5個だから、こっちのほうが多いね」と確認すると、数と量が結びつきやすくなります。
すぐに答えを教えない
子どもが数え間違えたり迷ったりしていると、つい「3個でしょ」「違うよ、4個だよ」と答えを教えたくなります。
ただ、子どもが考える前に答えを伝えてしまうと、自分で数え直したり、どこでズレたのか確認したりする経験が少なくなります。
数の概念を育てるうえでは、子どもが自分で考える時間を少し残すことも大切です。
迷っているときは、すぐに答えを伝えるのではなく、「もう一回ゆっくり数えてみようか」「どこから数えたかな?」と声をかけてみましょう。
自分で数え直すことで、同じ物を2回数えていたことや、途中の物を飛ばしていたことに気づける場合があります。
間違えても数え直す
数え間違えたときは、責めるよりも一緒に数え直すことが大切です。
幼児期は、同じ物を2回数えたり、途中で飛ばしたりすることがあります。そのたびに強く注意すると、子どもが数えること自体を嫌がってしまうかもしれません。
間違えたときは、「もう一回ゆっくり数えてみよう」と声をかけるくらいで十分です。
数え直すことで、どこでズレたのかが分かりやすくなります。指差しが早すぎたのか、同じ物を2回数えたのか、物がバラバラで見にくかったのかも確認できます。
数の概念を身につけるためにおすすめの教材・遊び
「数字は読めるのに、物を数えるとうまくできない」ときは、実物を数える遊びと数字に触れる教材を組み合わせるのが効果的です。
- お菓子・ブロック・積み木
- 数カード・ドットカード
- 「○個ちょうだい」遊び
- 算数アプリ
子どもが楽しく続けられるものを、短時間から取り入れてみましょう。
お菓子・ブロック・積み木
数の概念を育てるには、まずお菓子・ブロック・積み木のように実際に触れる物を使ってみましょう。
目の前にある物を1つずつ数えられるので、数字と個数を結びつけやすくなります。
たとえば、おもちゃを3個並べて「1個、2個、3個」と数えたり、ブロックを同じ数ずつ分けたりするだけでも、数の感覚に触れられます。
▼実際の写真

「こっちが多いかな?」「同じ数にできるかな?」と声をかければ、数の大小や分ける感覚にもつながります。
数カード・ドットカード
数カードやドットカードは、数字と量を結びつける練習におすすめです。
数字カードは数字を読む練習に使えますが、それだけではなかなか個数をイメージできません。
そこで、イラストが描かれたカードと組み合わせると数字と量を結びつけやすくなります。
▼実際の写真

ドットカードは、点の数を見て「いくつあるかな?」と考えられるのがよいところです。
最初は1〜5くらいの少ない数から始めると、子どもも答えやすくなります。
「○個ちょうだい」遊び
「3個ちょうだい」「ブロックを2個持ってきて」とお願いする遊びも、数字と実際の個数を結びつけるきっかけになります。
数字を順番に言える子でも、指定された数だけ物を取り出すとなると迷うことがあります。
たとえば、お菓子をいくつか並べて「3個ちょうだい」と伝えると、「3」という数字と「3個」という量が結びついているかを確認できます。
慣れてきたら、「2個ずつ分けてみよう」「あと1個増やしたら何個?」など、少しずつ遊び方を広げることもできます。
算数アプリ
算数アプリは、ゲーム感覚で数字に触れやすい教材です。
幼児期は机に向かってひたすら勉強するより、楽しく取り組めるかどうかが大切です。
算数アプリなら、数字や数の問題を遊びながら学ぶことができ、子どもが自分で進めやすいのもポイントです。
▼実際の写真

わが家では「トドさんすう」という算数アプリを使って数や計算に触れる時間を作っていました。
算数アプリをいくつも試しましたが、息子が一番楽しめたのが「トドさんすう」です。
こちらのトドさんすうレビュー記事では、3歳から実際に使った感想や、メリット・デメリットを詳しく紹介しています。
まず子どもに合うか試してみたい場合は、トドさんすうの7日間無料体験についてまとめた記事も参考にしてください。
数の概念を教えるときに注意したいこと
数の概念を育てるときは、早く進めることよりも子どもが嫌にならないことが大切です。数字の暗記や計算だけに偏らず、子どものペースを見ながら進めましょう。
以下の5つに注意しましょう。
- 数字の暗記だけにしない
- すぐに足し算へ進めない
- 他の子と比べない
- アプリやドリルを放置しすぎない
- 親の期待を押しつけない
数字の暗記だけにしない
「1、2、3」と言えるようになると、数を理解できたように見えます。
ただし、数字を言えることと、物の数が分かることは別です。1から10まで順番に言えても、目の前のお菓子を数えると途中でズレることはあります。
そのため、数字を暗記させるだけで終わらせないことが大切です。
数字カードを読む練習だけでなく、お菓子やブロックを実際に数える経験も一緒に増やしましょう。「3」と読めるだけでなく、「3個ある」と分かるようになるには、実物と数を結びつける時間が必要です。
すぐに足し算へ進めない
数字が読めるようになると、次は足し算を教えたくなるかもしれません。
しかし、数の理解があいまいなまま「2+3=5」のような式に進むと、子どもが混乱しやすくなります。式の形だけを覚えても、「2個と3個を合わせる」という意味が分かっていなければ、本当の理解にはつながりにくいです。
まずは、具体物を使って「全部でいくつ?」を考えることから始めるとよいです。
たとえば、お菓子を2個と3個に分けて、「合わせると何個になるかな?」と聞いてみます。実際に目で見て数えることで、足し算の意味をイメージしやすくなります。
他の子と比べない
数の理解は、子どもによって進み方が大きく違います。
同じ5歳でも、足し算に興味を持つ子もいれば、まだ物を数えるほうが楽しい子もいます。早くできる子を基準にすると、親も子どもも疲れやすくなります。
SNSや周りの子の様子を見ると、つい比べたくなることもありますよね。
しかし、幼児期の算数では「何歳でどこまでできるか」よりも、子どもが前向きに数へ触れているかのほうが大切です。昨日より少し丁寧に数えられた。前より「全部でいくつ?」に答えようとした。そうした小さな変化を見てあげると、家庭学習は続けやすくなります。
アプリやドリルを放置しすぎない
算数アプリや紙ドリルは便利ですが、渡して終わりにしないほうがよいです。
子どもが一人で進めていても、内容を理解しているとは限りません。アプリでは、なんとなくタップして正解している場合もあります。紙ドリルでも、答えは書けているように見えて、数え方を理解していないことがあります。
もちろん、毎回つきっきりで見る必要はありません。
大切なのは、ときどき横で見て「どうやって考えたの?」と確認することです。短い声かけを入れるだけでも、子どもが本当に理解しているか見えやすくなります。
親の期待を押しつけない
子どもが少しできるようになると、「もっとできるかも」と期待したくなります。
その気持ちは自然ですが、期待が強くなりすぎると、子どもにとって負担になります。親が焦っていると、子どもも「間違えたら怒られる」「できないとダメ」と感じやすくなります。
幼児期の算数は、成果を急ぐ時期ではありません。
嫌がる日は無理に進めず、短く終わらせても大丈夫です。紙ドリルを嫌がるなら、ブロック遊びやおやつを数えるだけでも数に触れる機会になります。
数を数えられない幼児に関するよくある質問
数の概念があいまいでも足し算に進めていい?
数の概念があいまいでも、実物を使う形であれば足し算に触れても大丈夫です。ただし、いきなり式だけで教えると意味を理解しにくいことがあります。最初はお菓子やブロックを使い、「2個と3個を合わせるといくつ?」と考える形にすると、足し算の意味をイメージしやすくなります。
5歳で数えられないのは遅い?
5歳で物をうまく数えられないからといって、年齢だけで「遅い」と判断する必要はありません。数字を順番に言えることと、物を1つずつ数えて個数を理解することは別の力です。1から10まで言えていても、ブロックを数えると途中でズレることはあります。まずは、数字と量が結びついているか、物と数字を1つずつ対応させられているかなど、どこでつまずいているのかを見ることが大切です。
数字は読めるのに数えられないときはどうすればいい?
まずは2〜5個程度の物を使い、1個ずつ指差したり動かしたりしながら数えてみましょう。数字を言うタイミングと物を指すタイミングを合わせることで、「物1つに数字1つ」を意識しやすくなります。数え終わったら「全部でいくつ?」と確認すると、最後に言った数字と全体の個数も一緒に確認できます。間違えてもすぐに答えを教えるのではなく、もう一度ゆっくり数え直せるように声をかけてみてください。
アプリだけでも数の概念は育つ?
算数アプリだけに任せるより、実際の物を数える経験と組み合わせるのがおすすめです。算数アプリは、数字や数に遊びながら触れられる教材の1つです。一方で、お菓子やブロックを指差したり動かしたりしながら数えると、実際の物と数字を一緒に確認できます。アプリと日常生活の数遊びを、それぞれ無理のない範囲で取り入れてみましょう。
数える練習は毎日必要?
数える練習は、毎日きっちり時間を決めて行う必要はありません。食事中におかずを数えたり、買い物で「りんごを2個取って」とお願いしたりするだけでも十分です。無理にドリルを続けるより、子どもが嫌がらない範囲で、生活や遊びの中に少しずつ数える機会を入れることが大切です。
まとめ|物を数える経験を重ねて、数の感覚を育てよう
数字を順番に言えたり読めたりしても、実際の物を正しく数えられるとは限りません。
物を数えるとズレる場合は、数字と量がまだ結びついていなかったり、物と数字を1つずつ対応させることが難しかったりする場合があります。
まずは、お菓子やブロックなど身近な物を使い、少ない数から1個ずつゆっくり数える経験を増やしてみてください。
年齢だけで焦らず、子どもがどこでつまずいているのかを見ながら進めることが大切です。



